秋の星々(140字小説コンテスト2025)応募作


お題:「後」

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俺の家系は龍交じりだ。前厄を迎えると身体に親指の爪ほどの鱗がいくつも生え、後厄が終わると剥がれる。「綺麗なのに」と恋人は名残惜しそうに首筋の鱗を撫でて「一枚もらってもいい?」と囁く。厄を引き受けるものだから、と断ると恋人は「それでもいいよ」と鱗へ口付ける。温く柔い唇の感触がした。
誘われるがままサッカー観戦をしている。後半42分で0-2。「一分に一本シュートが入れば勝てる!」友人の狂気じみた発言に重なるように——シュートが入った。おお。あ、パスが繋がる。えっ、あ、またゴール。マジ? 思わず拳を握る。勝てるかも。音圧を増す声援に呼応して身体が熱を帯び始めた。

通過はしませんでしたが、わりと気に入っています。