夏の星々(140字小説コンテスト2025)応募作


お題:「浜」

市役所近くの「海浜プール」は、名前から期待される要素が皆無のただの屋外プールだ。しかし半世紀前この辺りは確かに浜だった。それを示すように、ときたま水面には帆曳舟の幻が見えた。そのプールは最近取り壊され、行き場をなくした船の影が、ごくまれに市役所の窓の隅に映り込んでいる。ほら。

夢の中で俺は浜名湖の中にいる。うなぎたちが俺を囲んでいるから間違いない。「うなぎ+湖=浜名湖、は早計では」「想像力が足りない」「だからフラれるんだ」……うるせえ! 言いたい放題のうなぎに嚙みつくと、パイのように砕けたうなぎは水中を舞い「おいしい?」と訊く。俺は頷く。

もう一作品は佳作をいただきました。ありがとうございます。